インナーチャイルドとは?自己肯定感が低い大人のための “心の仕組み” をやさしく解説
1.インナーチャイルドとは何?
まず前提としてお伝えしたいのは、
インナーチャイルド=「心の中に住む傷ついた子ども」
というよりも、
「子どもの頃に身につけた、生き延びるためのルール・自己イメージ」
と捉えた方が、ずっと現実的で役に立つ、ということです。
子どもの脳と神経は、親や周りの大人との関わりを通して、
- 「私はこういう人間だ」
- 「人はこういうものだ」
- 「世界はこういう場所だ」
という “マイルール(自己モデル)” を作っていきます。
たとえば、こんなメッセージを繰り返し受け取ると:
- 「静かにしてなさい」「いい子にしてなさい」
- 「迷惑をかけるな」
- 「泣くんじゃない」「我慢しなさい」
- 「頑張ったら褒めてあげる」
子どもの脳は、こう変換します。
- 「私は本音を出すと嫌われる」
- 「助けてと言ったら迷惑になる」
- 「しんどくても我慢しないといけない」
- 「頑張らない私は、愛される価値がない」
これが インナーチャイルド=“当時の生存戦略” です。
ここで大事なのは、
それは「弱いあなただから」ではなく、
当時のあなたが必死に生き延びるために身につけた“賢いルール” だった、ということ。
問題は、
大人になって環境が変わっても、
このルールが 自動運転のまま残ってしまう ことなのです。

2. 親からのメッセージ・家庭環境が今の思考パターンになるまで
子どもの頃のメッセージは、「言葉そのもの」よりも空気・表情・態度の積み重ね として刷り込まれます。
例1:いつもピリピリしている親のもとで育った場合
・大声を出される・機嫌で態度が変わる・何をしても怒られそうな空気
→ 子どもの脳は:「ここは安全じゃない」「私はいつ怒られてもおかしくない存在だ」と感じます。
大人になってから:
・人の顔色ばかり気になる・上司やパートナーの機嫌に振り回される
・ちょっとしたLINEの反応でも不安になる
こうした反応は、今のあなたの“性格の問題”ではなく、昔の神経系の記憶が、今も働いているだけ かもしれません。
例2:「いい子だね」「偉いね」が“条件付き”だった場合
・親が嬉しそうなのは、頑張った時だけ・成績が良い時だけ褒めてもらえる
・我慢した時だけ「いい子」と言われる
→ 子どもの脳は:
「頑張れる私=価値がある」「弱音を吐く私は=価値がない」と学習します。
大人になってから:
・常に頑張り続けていないと不安・休むと罪悪感に襲われる・褒められない自分は“ダメなやつ”だと感じる
これが、自己肯定感の低さ の土台になっていきます。

3. インナーチャイルドが生みやすい3つのパターン
ここでは代表的な3つを取り上げます。
① 見捨てられ不安
・嫌われることが人一倍怖い
・LINEの既読スルーで胃が痛くなる
・人が離れていく予感がするとパニックになる
背景には:
- 「いつか見捨てられるかもしれない」
- 「本当の私はダメだから、離れていくのが当たり前」
という 深い恐れ が隠れていることが多いです。
② 過剰適応
・「本音で生きる」より「周りとうまくやる」を優先してしまう
・「いい人ですね」と言われるが、心の中はいつも疲れている
・NOを言えず、限界を超えてから倒れる
子どもの頃に:
- 「空気を読まないと怒られる」
- 「親の機嫌をとるのが当たり前」
- 「自分の感情は後回し」
という家庭で育つと、
自分の欲求より他人の欲求を優先するクセ が染みつきます。
③ 完璧主義
・100点でないと「もうダメ」と感じる
・ちょっとしたミスが頭から離れない
・“できなかった自分”を何日も責め続ける
背景には:
- 「失敗したら愛されない」
- 「ちゃんとしていない私は存在してはいけない」
という 条件付きの自己価値 が潜んでいることが多いです。
4. これが「自己肯定感の低さ」とどうつながるのか
自己肯定感とは、「いつも自分大好き!」ではなく、
うまくいっている時も、失敗している時も、不安な時も
“それでも私はここにいていい”と感じられる感覚です。
インナーチャイルドのルールが強いと、
- できない=価値がない
- 嫌われるかも=存在してはいけない
- 我慢しない=悪い子
という “存在そのものの不安定さ” を抱え続けることになります。
だから、どれだけポジティブな言葉を唱えても、
現実が少し揺らぐと、簡単に自己否定に戻ってしまうのです。
5. インナーチャイルドは「壊れた子ども」ではなく「当時のヒーロー」
ここで、とても大切な視点をお伝えします。
インナーチャイルドは、「問題の元凶」でも「厄介な存在」でもなく、
“過酷な環境であなたを守ってくれた、当時のヒーロー” です。
・本音を飲み込むことで、家を荒れさせないようにした
・いい子でいることで、親の怒りから身を守った
・何でも一人でやることで、見捨てられないようにした
全部、今のあなたが生き延びるために必要だった戦略 だったのです。
だから、
「こんな自分イヤ」「インナーチャイルドなんて消したい」
とさらに否定してしまうと、自己否定のループが深まってしまいます。
必要なのは、
- ああ、私はこうやって自分を守ってきたんだね
- 当時の私、よく頑張ってくれてたね
と、大人の視点から“理解と感謝”を向けること。
ここからしか、解放は始まりません。

6. 過去を掘りすぎないために ―「今ここ」の自分を扱うこと
ここで一つ、大切な注意点も書いておきます。
インナーチャイルドや過去の傷に取り組む時、
「過去の原因探しだけ」にハマってしまうと、かえって苦しくなる ことがあります。
・「親が悪かったから私はこうなった」
・「幼少期のせいだから、もう変われない」
と、物語が固まってしまうと、
「私は被害者である」という自己イメージが強化されてしまうからです。
最新の心理学(セルフ・コンパッションなど)でも、
過去を理解することは大切だけれど、
癒しを進めるのは「今ここの自分」をどう扱うか である
と繰り返し強調されています。
では、どうすればいい?
インナーチャイルドに取り組むうえで、おすすめのステップは次の通りです。
- 今のパターンに気づく
例)
・頼まれると断れない
・嫌われるのが怖くて本音を飲み込む
・失敗のたびに極端な自己否定が出る - 「これを初めて覚えたのはいつ頃だろう?」と静かに振り返る
・子どもの頃の場面が浮かんだら「そうか、その時からだね」と理解する - 「このルールは今の私にも必要?」と大人の自分が問い直す
・あの時は必要だった
・でも今の私は、違う選び方もできる - 小さな実験をしてみる
・一回だけNOを言ってみる
・一人で抱え込まず、「手伝って」と言ってみる
・完璧じゃなくても提出してみる - 身体の安全を優先する
・深い呼吸
・身体をゆるめるケア(アロマ・タッチング・レイキなど)
・緊張しやすい日は、先に体をほぐしてから内面を見つめる
心だけをいじるのではなく、身体と神経を「安全モード」にしてから 過去に触れる。
これが、無理なく進むためのポイントです。
7. 仏教から見たインナーチャイルド ―
「人は白紙で生まれ、縁によって染まる」
仏教では、人は本来 「固定された性格や本質を持たない(無我)」 とされます。
- 生まれた環境
- 親との関係
- 出会った人
- 経験してきた出来事
それらの 縁の積み重ねの結果として、
今の「考え方・感じ方・反応の仕方」が形づくられているだけ。
つまり、「私はこういう性格だから一生変わらない」ではなく、
「ここまでの縁が、今の私の反応パターンを作っているだけ」だと見るのです。
そう見ると、インナーチャイルドもこう言い換えられます。
過去の縁から生まれたパターン
だから、これから出会う“新しい縁”によって、
いくらでも書き換わっていく。
これが仏教的な希望です。
8. 足立みずほから、あなたへ
私自身、長い間「インナーチャイルド側の人間」でした。
・家族の話をするのが恥ずかしくてたまらない
・「私は愛されていない」と心のどこかでずっと思っていた
・だからこそ、人一倍頑張らないと存在してはいけないと信じていた
その結果、
仕事で無理をし続けて体も心もボロボロ、
お酒や買い物、人からの承認で自分の穴を埋めようとしていた時期もあります。
でも、心理学や仏教を学び、レイキと出会い、
「これは私の性格ではなく、“当時の私が必死で身につけたパターンなんだ」
と理解したとき――
心の中で、すっと力が抜けました。
ああ、私がダメだったんじゃない。
そういう環境で、
そう思い込むしかなかった“当時の私”がいただけなんだ。
そう腑に落ちた時から、少しずつ「今の私として生きる感覚」が育っていきました。
インナーチャイルドは、
あなたを苦しめるためにいるのではなく、
あなたを守るために必死で働いてきた“昔のあなた” です。
だから、どうか責めないであげてください。
そして、今のあなたにはもう、
・自分を知る力
・自分を守る力
・新しい選択をする力
が育ち始めています。
インナーチャイルドを「直さなきゃいけない欠陥」ではなく、
「一緒に歩き方を変えていく相棒」として見られるようになると、
自己否定の濃度は、少しずつ確実に薄まっていきます。
一気に完璧に癒そうとしなくて大丈夫。
一緒に、少しずついきましょう。
あなたの中の“小さなあなた”は、
今のあなたに気づいてもらえるのを、ずっと待っていたはずだから。