「私が変われないのは過去のせい?」アドラー心理学・目的論で未来を選び直す
昨日の記事でお伝えした「課題の分離」や「劣等感・劣等コンプレックス」。
そこに共通するのは、「人は過去の出来事や他人の評価に縛られて、自分の人生を苦しくしてしまう」ということでした。
そこで今日は、アドラー心理学の核となるもう一つの考え方 ― 「目的論」 を解説していきます。
この視点を持てるようになると、「私はこうだから仕方ない」と過去に囚われていた思考から自由になり、今ここから未来を変える行動ができるようになります。
フロイトとの対立ー原因論vs目的論
心理学を学ぶと必ず出てくるのが、アドラーとフロイトの違いです。
フロイト心理学は「原因論」に基づいています。
「人の今の行動は、過去の体験や幼少期の抑圧された欲望によって決定づけられている」という考え方です。
たとえば、
- 幼少期の親との関係で愛情不足があったから、今の人間関係がうまくいかない
- 子どもの頃の失敗体験があるから、挑戦できない
というふうに「過去が原因だから、今はこうなっている」と説明します。
けれどこの考え方だと、過去を変えない限り未来は変えられない という「決定論」に陥ってしまうのです。
一方、アドラーは「目的論」を提唱しました。
「人は過去に縛られて生きているのではなく、“今”の行動には未来に向けた目的がある」という考えです。
目的は無意識に選ばれている
多くの人は、「私は過去のせいでこうなった」と考えがちです。
でも実際には、その出来事をどう解釈し、どう行動するかを “今の目的” が選んでいるのです。
例えば――
- 「恋愛で傷ついたから、もう一人でいた方が楽だ」
➡ 本当の目的は「これ以上傷つきたくない」。 - 「失敗したくないから、新しい挑戦はやめておこう」
➡ 本当の目的は「自分のプライドを守りたい」。
こうした目的は多くの場合 無意識 に選ばれています。
だからこそ、「なぜ私はいつも同じことで悩むんだろう?」とぐるぐるしてしまうのです。

インナーチャイルド探しに明け暮れた過去
私自身もかつては「過去のせいで私は変われない」と思っていました。
インナーチャイルドや過去の原因探しに答えがあると信じて、ワークや癒しに没頭したこともあります。
でもどれだけ掘っても「原因なんて無限に出てくる」と気づいたんです。
そしてアドラー心理学の「目的論」に出会い、
「過去は変えられない。でも、未来の目的なら自分で選べる」
この考え方が腑に落ちて、初めて前に進む勇気が生まれました。
目的論が教えてくれること
- 過去は変えられない。でも「解釈」と「意味づけ」は変えられる。
- 行動を選んでいるのは“無意識の目的”。
- 気づくことが、未来を変える第一歩になる。
つまり、 「私はこうだから仕方ない」という思い込みから自由になれる のです。

今日からできる実践
- 同じ失敗を繰り返しているとき、「私はどんな目的でこの行動を選んでいるんだろう?」と問いかけてみる。
- 「傷つきたくないから避けている」「認められたいから頑張りすぎている」など、行動の裏の目的を探す。
- 気づいたら、「その目的は本当に今の自分に必要?」と問い直す。
まとめ
フロイトが「人は過去の原因に縛られる」と考えたのに対して、アドラーは「未来の目的を自分で選べる」と説きました。
私たちは過去に囚われる必要はなく、今この瞬間から新しい未来を選び直せるのです。
劣等感も、承認欲求も、課題の分離も――すべては「未来をどう選ぶか」に通じています。
そして次に大切になるのが、「その未来へ進むための力」、つまり 勇気づけ。
次回は、この勇気づけについて一緒に深めていきましょう。