孤独や劣等感から抜け出す!アドラー心理学に学ぶ「自分を勇気づける力」

これまでの記事で、承認欲求目的論課題の分離について触れてきました。
「なぜ私たちは苦しくなるのか」「どうして同じパターンで悩み続けてしまうのか」――その背景を整理してきましたよね。

では実際に、それをどう乗り越えて「前に進む力」を手にできるのでしょうか?
ここで大切になるのが、アドラー心理学でいう 勇気づけ です。

勇気づけとは

勇気づけとは、困難を克服する活力を与えること。
これは他者に対してももちろん大切ですが、まずは 自分自身 に向けることが欠かせません。

よく「褒めること」と混同されがちですが、両者は似て非なるものです。

  • 褒める:成果や良い行いに対して評価を与えること
  • 勇気づけ:たとえ失敗していても「大丈夫、前を向いて進める」と力を取り戻させること

褒めることは一時的に自尊心を高めますが、条件がなくなるとすぐに揺らいでしまいます。
一方、勇気づけは「存在そのものの価値」に光を当てるので、状況に左右されにくく、長く自分を支えてくれる力になります。

勇気をくじいてしまう思考パターン

実は私たちがつまずく原因の多くは、外部の出来事そのものではなく「自分の心の中」にあります。
無意識のうちに、自分で自分を追い詰めてしまうのです。

  • 高すぎるハードルを設定してしまう
    「完璧でなければ価値がない」と思い込み、ゴールを高く掲げすぎると、常に「まだ足りない」という感覚に苦しめられます。
  • 達成できていない部分ばかりに注目する
    できたことよりも「できなかった部分」に目が行き、「私はダメだ」というセルフトークが習慣化してしまいます。
  • 人格否定してしまう
    「私は失敗した」ではなく「私は失敗者だ」と、自分の存在そのものを否定してしまう。これは最も危険な勇気くじきです。

こうした思考パターンは、心のエネルギーを大きく消耗し、「どうせやっても無駄だ」という諦めにつながります。

自分を勇気づける3つの柱

アドラー心理学では、勇気づけを支える大切な感覚が3つあるとされています。

  1. 所属感:自分には確かに居場所があると感じること
  2. 信頼感:人は信じられると思えること
  3. 貢献感:自分が誰かの役に立っていると実感できること

この3つは人間の精神的な栄養のようなものです。

特に「貢献感」は、自分を勇気づけるための中心にあります。
「私は役に立っている」「誰かが私を必要としている」――この実感があるだけで、人は驚くほど立ち上がる力を取り戻せるのです。

逆に言えば、孤立し、信じられる人もなく、誰からも必要とされていないと感じると、勇気は簡単にしぼんでしまいます。

✨体験談:ある鍼灸師の変化

ここで、一人の鍼灸師のエピソードを紹介します。

彼は職人気質で、自分の技術に強い自信を持っていました。
「弱みを見せてはいけない」「結果を出し続けなければ価値はない」――そんな完璧主義が彼を追い込み、やがて心が病んでしまったのです。

生活のために、彼はリーズナブルなリラクゼーション店で働き始めました。
最初は孤独でプライドの塊のような存在。周囲とも打ち解けず、心を閉ざしていたといいます。

けれど、共感的な同僚やお客様との出会いが、彼を少しずつ変えていきました。
会話を交わすだけでお客様の表情が緩む。
「施術の技術」だけでなく「そこにいること自体」で人が癒されるのだと知った時、彼の心の奥に新しい感覚が芽生えました。

  • 「私はここにいてもいい」(所属感)
  • 「人は信じても大丈夫」(信頼感)
  • 「会話するだけで役に立てるんだ」(貢献感)

この気づきが彼を大きく変えました。
結果的にその店で全国指名数の上位0.5%という成果をあげるまでになったのです。

そして彼は再び鍼灸院をオープンしました。
今度は「技術を誇示したい」というプライドのためではなく、
「しんどい人、みんなおいで。心まで癒せる場所をつくりたい」――そんな思いから。

孤独な職人だった彼は、今や多くの人に愛される鍼灸師へと変わったのです。

自分を勇気づける実践方法

では、私たちはどうやって「自分を勇気づける」ことができるのでしょうか?
ポイントは3つです。

  • 言葉
    日常で口にする言葉が、心をつくります。
    「どうせ私なんて」ではなく、「私はできる」「私は必要とされている」と肯定的な言葉を繰り返すことで、心の習慣を変えていきます。
  • 行動
    どんなに小さくても「できた」と思える行動を積み重ねること。
    完璧でなくてもいい。たとえば「今日は5分だけ片づけた」「挨拶をした」――この小さな成功体験が自己信頼を育てていきます。
  • イメージ
    「失敗したらどうしよう」ではなく「すでにうまくいった」未来を思い描く。
    脳は現実とイメージを区別しないので、前向きな想像が勇気を引き出します。

大切なのは「すでに物事が成就したかのように行動してみる」ことです。
未来を先取りするように振る舞うことで、自分を勇気づけてくれるのです。

最後に

自分を勇気づけることは、他者を勇気づける力にもつながります。
そして、癒しや支えが必要なときに心を整える方法として、私は「レイキ」という手法にも大きな可能性を感じています。

(詳しくは次回の記事でご紹介しますね。)

BLOG

ブログ

PAGE TOP