もう振り回されない——アドラー心理学「課題の分離」で人間関係がラクになる
「どうして私ばっかり頑張ってるんだろう」って思ったこと、ありませんか?
職場では、同僚の遅れをつい引き受けてしまったり、上司の機嫌を気にして一日中疲れたり。
家では、子どもの宿題を心配して「やった?早くやりなさい!」と口出ししてしまったり。
パートナーに対しても、「私がやらなきゃ家が回らない」と背負い込み、感謝されないとイライラしてしまったり。
——これ、私自身もずっとやってきたことだから、痛いほど気持ちがわかります。
優しいからこそ、責任感が強いからこそ「私がやらなきゃ」と動いてしまうんですよね。
でもね、それが続くと 心も体も疲れ切ってしまうし、相手との関係もギクシャクしてしまうんです。
そんなとき助けになるのが、アドラー心理学で大切にされている「課題の分離」という考え方です。
私の体験談
実は私も、ずっと同じパターンを繰り返していました。
それは「集客に困っている女性オーナーさんのために、私がなんとかしなきゃ!」と、一人で頑張りすぎてしまうこと。
でも、結果を出せなければ自己嫌悪。「私の力が足りないんだ」と責めたり、逆に「私はこんなに頑張っているのに、相手や周りは本気でやってない」と怒りを感じてしまうこともありました。
今振り返れば、これって自分の能力を過信していたんですよね。
自分に過度な期待とノルマを与えて、結局自分が苦しむ。
「期待に応えなきゃ!」という思いが強すぎて、本来は相手自身が越えるべき壁を、私が奪ってしまっていたんです。
もちろん、手助けすることは大切です。でも、相手がやるべきことまで巻き取ってしまったら、相手の課題は解決されず、ずっとそのまま残るんですよね。
この気づきのおかげで、今は相手を信じて任せることができるようになり、人間関係がとてもラクになりました。

課題の分離とは
アドラー心理学では、人間関係のストレスの多くは「誰の課題なのか」をごちゃ混ぜにしていることから生まれる、と考えます。
一言で言うと、
「その行動の結果を最終的に引き受けるのは誰か?」を基準にして線を引く
ということ。
例えば…
- 子どもが宿題をしない
→ 宿題をしなくて困るのは子ども自身(子どもの課題)
→ 親の課題は「環境を整えること」や「応援すること」 - 同僚が期限を守らない
→ 評価を受けるのは同僚自身(同僚の課題)
→ あなたの課題は「自分の仕事をどう守るか」 - パートナーが家事をしない
→ 家事をしないことで不都合を抱えるのは相手自身(相手の課題)
→ あなたの課題は「どう伝え、どう分担を相談するか」

相手の課題を「奪う」とどうなる?
ここがすごく大事なポイントです。
「私がやった方が早いから」「放っておくと困るから」と相手の課題を奪ってしまうと…
- 相手は自分で考える機会を失い、成長のチャンスを奪われる
- 自分は疲れ果てて「感謝されない!」と不満が募る
- 関係には“見えない上下関係”が生まれ、対等さが崩れる
実はこれって、優しさのようでいて「相手にはできない」という否定や、
「こうしてほしい」というコントロールになってしまうんです。
本当の優しさは「信じて任せる」こと。ここに気づけると、人間関係がすごくラクになります。
――とはいえ、ここでこんな声が聞こえてきそうです。
- 「でも、私がやらないと組織が回らない!ダメになる!」
- 「放っておくと結果的に自分に迷惑がかかるから、嫌だけどやってる!」
…そうですよね。実際に現場にいると、そう感じることも多いと思います。私自身も何度もそう思ってきました。
だからこそ、次のパートでは「共感しつつもどう解決すればいいのか?」を具体的にお伝えしていきます。
今日からできる「課題の分離」練習
1. 立ち止まって自問する
この結果を引き受けるのは、私?相手?
一度立ち止まって問いかけるだけで、余計な背負い込みを防げます。
2. NOをやさしく伝える
「今は手いっぱいだから、できるのはここまでだよ」
「あなたならできると思う。必要なら相談には乗るね」
境界線を引くことは冷たいことではなく、「相手を信じている」からこそのサインです。
3. 支援と“奪う”を区別する
- 支援:励ます、選択肢を示す、情報を共有する
- 奪う:代わりに決める、代わりにやる、感情まで操作しようとする
4. 信じる勇気を持つ
「私がやらないと相手は困るはず」という思い込みは、実は「相手にはできない」と否定しているのと同じ。
相手を信じて任せる勇気を持つことで、相手は自分の力で課題を乗り越える経験を得られます。
その“成長の機会”を信じて見守ることこそ、本当の優しさです。
まとめ
「課題の分離」とは、ただ突き放すことではなく、相手を信じて任せ、自分も自分の人生に責任を持つこと。
私自身も「人のために動かないと存在価値がない」と思って、人の課題を背負いすぎて心が壊れかけたことがありました。
でも、課題の分離を知って「これは私の課題じゃない」と線を引けるようになってから、びっくりするほど人間関係が軽くなったんです。
あなたもぜひ、今日から「これは誰の課題?」と問いかけてみてください。
きっと、心の荷物が少し軽くなるはずです。